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友達



俺はその日も釣り糸を垂らしていた…。

バストゥークで支度を整え、獣人を避けつつ北グスタベルグの川へ…

それが日課となっていた。



白魔道士を生業としているせいか、頻繁にテルで声を掛けられる。



「一緒にパルブロのミッションやりませんか?」



人見知りがちな俺は、そういった誘いを断り続けた。

そもそもミッションなんてやった事が無い…。

この川まで来れるくらいのレベルになってからは…ずっと釣り糸を垂らしているだけだった…





「…釣れるか?」




すぐ隣の方から声を掛けられた。

いつから居たんだろう。



「いいえ、あんまり…」



俺は気の無い返事で答えた。



「そうか。」



俺と同じくらい気の無い言葉が返ってきた。

どんな人だろうと気になり、俺は相手の方を向き、

そして驚愕した。

声の主はGoblin Fisher…水辺に生息するゴブリン族。

俺は無意識の内に武器を握りしめていた…。

ゴブリンが俺の様子に気付き、こう言った。




「待て、話せば分かる。俺、良いゴブリン。」

「え…?」





狐につままれたような顔をしている俺をよそに、ゴブリンは語り始めた。

良いゴブリンと悪いゴブリンがいる事、数日前から俺を遠目から見ていた事、

そして…



「俺、友達、いない。お前も、多分、友達、いない。」

「ほっとけ…」




痛いところを突いてくるヤツだ。

それが何だってんだ…



「だから、俺とお前、友達。俺も、釣り、好き。」

「…え?」




ゴブリンからの意外な言葉。

冒険を始めてから今まで、ずっと一人だった俺は…

ゴブリンの言葉に嬉しくなり…こう答えていた。



「…う、うん。」

「俺とお前、友達!」




…嬉しそうに飛び回っている。

あまりにも勢いよく飛び回っていたので、

ゴブリンの鞄からポロリと何かがこぼれ落ちた。



チッ…チッ…チッ…



「あ。」

「ば、爆弾…!?」





気付いた時には手遅れだった…

凄まじい爆発の直撃を受けながらも、なんとか九死に一生を得る事が出来た…。

二人並んでヒーリング。



「ごめん。わざと、違う。」

「いいよ、気にしなくても。」

「…ありがとう。」




申し訳なさそうに隣でヒーリングしてるゴブリンが、

妙に可笑しく見えた。





それから俺達は、毎日一緒に釣りをするようになった。



「お前、下手くそ。まだまだ練習不足。」

「…うぐぐ。」




悔しい事に、彼の釣りの腕はハンパじゃなかった。

Fisherの名は伊達ではない。

だが俺とていつまでも同じでいるわけにはいかない…!

横目で彼の技を盗みつつ、確実に上達していった。


そして翌日…



バキッ



「あっ。」



釣り竿が折れてしまった。

どうやら大物がかかってしまったらしい。

替えの竿も持っていなかったので、バストゥークまで買いに戻ろうとすると…



「これ、使え。なかなか頑丈。」



そう言って彼が手渡してくれたのは物干し竿だった。

駆け出しの冒険者である俺なんかでは、とても買えない高価な竿だ。



「い、いいの?」

「俺、たくさん竿持ってる。ほれ、この通り。」




そう言いながらゴブリンは鞄の中身を俺に見せつけた。

本当にたくさんの釣り竿(と爆弾…)でいっぱいだった。

こんなにあるのなら…と思い、有難く受け取る事にした。

…なんだか彼の術中にハマったような気もするが。



数日後。

彼から貰った物干し竿のおかげか、俺の腕前は確実に上達していった。



「お前、だいぶ上手、なってきた。」

「ふふん、もう下手くそとは言わせないぞ。」

「ああ、もう言わない。」 

「そ、そうか。」




やけにあっさり認められたので拍子抜けしてしまったが、

…素直に嬉しかった。



「…ありがとう。」

「?」




不思議そうな表情でこちらを見ている…。

なぜお礼を言われたのか分かっていない様子だ。



(ま、いっか。)



俺がクスッと笑うと、彼はまた不思議そうな表情をした。

結局…この日の彼は、ずっと不思議そうな表情をしたままだった。





翌日。

いつもより早い時間にゴブリンは来ていた。

いつもは必ず後からやってくる。

そうしないと、通りすがりの冒険者に攻撃されるかもしれないからだ。


だがこの日は違った。

その手には、各国を旅して回る行商ゴブリンから買い取った、

最近錬金術ギルドで開発されたという、最新式の釣り竿を『2本』握り締めていた。



(あいつ、きっと、喜ぶ…はず。)



ゴブリンは彼を驚かせようとプレゼントを用意して、待ち伏せしていたのだった。

だが、その思いが仇となってしまった…



「おっ、あのゴブリン、高そうな釣り竿持ってるぜ?w」

「ホントだ〜、私アレ欲しい〜♪^^」

「おkw 俺に任せとけ!」




(見つかった…!に、逃げないと…)



「Goblin Fisherに挑発!」

冒険者Aの挑発→Goblin Fisherに挑発の効果。



(う…うぅ…)



「がんばれ〜☆」

冒険者Bは冒険者Aを応援した!



(た…助けて…)




「なかなかしぶといなw」

「はやく逝っちゃえ〜♪」





(こ…この竿は…絶対に…!)









「うはwドロップ無しかよwww」

「惜しかったね〜^^」

「んじゃ行くかw」





通りすがりの冒険者達が立ち去ったその場には、

今にも息絶えそうなゴブリンが横たわっていた…。



(…絶対……この竿を…)








「遅くなっちゃったな。」


キョロキョロと辺りを見渡す。

すると、岩陰から彼が顔を出した。



「…やっと、来たか。」

「ごめんごめん、さぁ釣りしよう!」

「…その前に…これ…お前に、あげる。」

「これって…複合素材の竿じゃないか。こ、こんな高いの貰えないよ。」

「…俺の分、ちゃんとある。ほれ、この通り。」

「で、でも…」

「…この竿を持って、色んな所行って、色んな魚、釣って欲しい。」

「…う、うん。じゃあ行こう!」

「…それ、駄目。俺、他所に行けない。そういう決まり、ゴブリンにはある。」

「そ、そんな…。」

「…お前、もっと広い世界、見ないと駄目。それ、俺に出来ない事。とてもうらやましい。」

「ゴブリン…。…分かった。俺、行ってくるよ。世界を見て回ってくる…それで見た事ない魚が釣れたら…!」

「…ああ、俺に、見せてくれ。」

「うん…この竿ありがとう。お返しと言っちゃなんだけど…これあげるよ。」

「…これは?」

ゴブリンヘルム。競売に売ってたんだ。」

「…いいのか?」

「当たり前だろ、友達じゃないか。」

「…! ……うん。」

「それじゃ俺行くよ。バリバリミッションとかもこなして、凄い冒険者になって戻ってきてやる!」

「…ああ、がんばれ…!」

「それじゃ元気でなー!」

「………」




あいつは大きく手を振り、自分の道を歩み始めた…。

そして…俺は…



(…ありがとう…Poritan。)








「え?」


誰かに名前を呼ばれたような気がして振り返った。

だが、誰も居なかった。

さっきまでそこに居たはずの、ゴブリンの姿も…。


「…?もうどっか行っちゃったのか。
 そういえばあいつ…一度も名前で呼んでくれなかったな…。
 よし!立派になって嫌でも名前で呼ばせてやる!」



そして俺は、再び歩き始めた…。





これが冒険者としての俺の旅の始まり…。

その手には、ゴブリンから譲り受けた釣り竿を握り締めて…。




後に、語られる事になる…。

白影と称される、Poritanという名の白魔道士がいた事を…。

その白魔道士が、年季の入った複合素材の釣り竿を愛用していたという事を…。







おしまい。








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コメント
プレイ開始当初の頃の俺に、
物語をくっつけてショートストーリーに仕立ててみました(´ω`)

この作品は90%フィクションです(´∀`)
| Poritan | 2006/04/16 6:35 PM |
いい話ですね( ´∀`)


・・・泣いてなんかいません(ノ∀`)
| きのこ | 2006/04/17 12:16 AM |
ええ話や・・・(´Д⊂
| 髭 | 2006/04/17 3:19 AM |
>髭きのこさん

つ【ハンカチ】


この作品は布団の中で物語を考えました。
考えてる最中に眠っちゃって起きたら忘れてるというアクシデントを
二度も乗り越えなんとか書き上げました(ぉ

[P]<好評のようで大変嬉しい
| Poritan | 2006/04/17 9:16 PM |
>髭きのこさん



そこっ!!!!!



まとめないでくださいッ!!!!!!!!
| きのこ | 2006/04/18 3:19 PM |
>きのこさん

[P]<反応があって大変嬉しい(ぉ
| Poritan | 2006/04/18 3:46 PM |
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